フィリピンの公用語と言語

Philippines Language

世界で3番目に英語話者が多い国

170もの言語がある多言語国家

首都マニラで使用されているタガログ語、セブ島周辺で使用されているセブアノ語、セブ島西側のイロイロやバコロドで使用されているイロンゴ語など、日本の方言と同様、その土地で使われている言語で、難しいことに同じ国の言語でありながら、言語が通じないケースも多くあり、フィリピンでは言語の統一化、意思疎通のためのフィリピン語が作られました。実際にはフィリピン語はタガログ語を元に作られていることから、タガログ語に近い言語になっています。

フィリピンは1900年近くにアメリカによる統治を受け、その際の施策として英語教育が行われ、英語が浸透しました。その後、1937年に当時のケソン大統領がナショナリズムの維持と復興のためにフィリピン語を公用語と法律で制定し、その功績から今でも「フィリピン語の父」と呼ばれ、現在の20ペソ札にも肖像画が利用されています。現在、フィリピンでは、学校の国語教育としての「フィリピン語」及び、公用語としての「英語」の2つの言語を学んでいます。

フィリピンは世界第3位の英語人口

フィリピンは英語を母国語とする国の中で、世界第3位の英語人口で、フィリピンの全人口の8割〜9割の人が英語話者であると言われています。

フィリピンでは幼い頃からテレビや教育を含め、英語環境で生活しているため自然と英語が身につきやすい環境です。教育では学校での国語としてフィリピン語を学びながら、第2言語として、英語の学習も行います。フィリピンでは小学校に入学すると同時に、理科や数学などの一部の教科は英語で進行され、学年が上がると英語で進行する授業の割合が格段に増えます。大学では、ほとんどのテキストは英語表記のため、高等教育を受ける上で英語を学習することは必須の条件となっています。

このような環境下での生活基盤により、フィリピンの高校生はすでに英語コミュニケーションに長けており、大学卒業まですると論文を英語で書けたり、英語の法律文書なども読めるほど高い英語力を身につけています。

英語力の高さから見るフィリピン

実際に、フィリピンには海外にある企業からのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)がフィリピンのGDPの3%をも占めており、特にコールセンターの売上高は世界でもトップクラスとなっています。コールセンターは、アメリカやヨーロッパなどの英語圏にある企業が発注元となっていることが多く、ネイティブ圏の企業からも、その高い英語力が認められている証拠でもあります。

フィリピンは国内での就職率は厳しく、フィリピンでは18~24歳の半数程度の人口が「離職中」であるというレポートもあります。そのため、流暢な英語を話すことができれば就業機会を見つけやすく、良い給料を手にすることができます。

また、近年国外に出稼ぎ労働に行くフィリピン人労働者OFW(Overseas Filipino Workers)が増加しており、アメリカ、カナダ、シンガポールやアラブ首長国連邦などの国で、良い仕事を得ることができることが、英語を習得することの動機になっています。現在は、フィリピンのGDPのうちの10%が出稼ぎ労働者の海外送金によるものですので、フィリピン経済にとってなくてはならない存在でもあります。このように、フィリピンから多くの海外出稼ぎ労働者が出て行き、世界中で活躍をして、数年働いて帰国する人や現地で家族を作り定住する人などが、近年のグローバル化を加速させて行く1つの要因になっていると言えるでしょう。